目次
2020年12月15日〜2021年10月31日の工事請負契約または不動産売買契約が対象となるグリーン住宅ポイント制度。
本制度で発行できるポイントを活用して、「追加工事・グレードアップ工事にポイント交換したい」という方も多いのではないでしょうか。
追加工事は、ポイント発行の評価対象である「本体工事」とは異なるルールがあります。
グリーン住宅ポイントの交換前にルールを理解しておけば、最大限に制度を活用できるでしょう。
今回は、
- 追加工事・グレードアップ工事の概要
- 追加工事・グレードアップ工事の具体例
- 追加工事・グレードアップ工事を完了させる期限
などを紹介します。
グリーン住宅ポイントを工事へ交換する方法が気になっている方は、ぜひ参考にしてみてください。
「グリーン住宅ポイント制度とは何?」という方は、まずは記事「グリーン住宅ポイント制度の対象工事を確認しよう!【2021年】」をご覧ください。 |
※グリーン住宅ポイント事務局のHPでは、「追加工事」の中に「グレードアップ工事」も含めて紹介されています。しかしそれぞれに細かなルールの違いがあるので、今回は「追加工事」と「グレードアップ工事」を分けてよりわかりやすく解説いたします。
追加工事・グレードアップ工事の概要
グリーン住宅ポイントは、対象商品への交換だけでなく、追加工事やグレードアップ工事の費用として使うことが可能です。
追加工事・グレードアップ工事にポイント交換する際の主な注意点は以下の通りです。
- ポイント発行の対象となる契約を締結した事業者(工事施工者・販売事業者)がおこなう追加工事・グレードアップ工事が対象。
- 住宅建築・リフォーム工事を複数の事業者に発注(分離発注)した場合、追加工事交換はできない。
- 申請者本人ではなく、必ず事業者が代理申請をする。
- ポイント発行申請と同時に「追加工事交換申請書」などの提出が必要。
- 工事完了前のポイント発行申請をした場合、すべての工事・住宅の引渡しを完了して
2022年1月15日⇒ 2022年5月31日までに完了報告をする。 - グリーン住宅ポイント事務局から代理申請者に振り込まれた代金は、申請者が支払うべき工事の代金の全部または一部に充当して、必ず相殺する。
追加工事へポイント交換する場合は、グリーン住宅ポイント事務局へのポイント発行申請と同時に手続きをします。
また、関係事業者が代理申請者として「追加工事交換申請書」や「追加工事交換用口座登録申込書」を用意する必要があります。
事業者との連携が必要不可欠なので、綿密に準備を進めていきましょう。
グリーン住宅ポイント対象の「追加工事」
「追加工事」とは、基本的に住宅購入・建築・リフォーム(本体工事)の前後におこなわれる工事のことを指します。
グリーン住宅ポイントに交換できる追加工事は、以下に該当するものです。
- 「新たな日常」に役立てるための追加工事
- 防災に役立てるための追加工事
1ポイント=1円相当、1,000ポイント単位での申請が可能です。
ただし、あらかじめ全額を清算した工事は、ポイント発行や追加工事交換の対象になりません。
ポイント交換申請・工事完了報告が承認されてから、グリーン住宅ポイント事務局によって代理申請者へポイント相当額が支払われる仕組みです。
追加工事に該当する具体例(「新たな日常」関連)
【ワークスペースを設置する】
目的 | 具体例 |
---|---|
屋内ワークスペースを設置 | 造り付けデスクカウンター / 本棚・棚・引き出し / 間仕切り(ロールスクリーン・パーテーション) / システムキッチンのカウンター / キャビネット |
屋外ワークスペースを設置 | プレハブ・ユニットハウス・ワークハウス / 日よけ・シェード / テラス屋根・囲い |
テレワーク関連設備を設置 | 天井・壁に固定する照明器具(配線・ライティングレールも含む) / 天井、壁に固定する映像装置(プロジェクター・モニター) / 天井・壁固定のスピーカー / コンセント・電源(配線・分電盤工事も含む) / インターネット環境(回線の引き込み・居室への配線) |
間取りを変更(設置・撤去) | 間仕切壁・格子壁 / 天井・床 / 居室内の窓・格子窓 / 窓・ドア / 収納(クローゼット・押入・納戸・床上げ畳収納) |
共用ワークスペースを設置(共同住宅) | 共用ワーキングスペース |
【音環境を向上する】
目的 | 具体例 |
---|---|
防音設備を設置 | 防音室 / 壁・二重窓・ドア / 内窓 / 外窓 / 防音換気設備 / 防音フローリング |
【空気環境を向上する】
目的 | 具体例 |
---|---|
換気設備などを設置 | 換気扇 / 網戸 / ルームエアコン / 換気・通風機能付きドア |
空気浄化作用がある製品を設置 | 畳(い草製) / 珪藻土の塗壁 / 調湿性のあるタイル・壁紙 |
【菌・ウイルスの拡散を防止する】
目的 | 具体例 |
---|---|
非接触型設備を設置 | タッチレス水栓 / タッチレス玄関ドア / タッチレス照明スイッチ / 自動開閉窓・ドア |
玄関周りなどの洗面化粧台・手洗器・立水栓を設置 | セカンド洗面台 / 外部水栓・手洗器 |
抗菌・抗ウイルス建材を設置 | 壁・床・手すり・ドアノブの設置 / 抗菌壁紙の設置 / 抗菌水栓の設置 |
【家事負担を軽減する】
目的 | 具体例 |
---|---|
キッチン周りの設備を設置 | ビルトイン食器洗い機 / 掃除しやすいレンジフード / ビルトイン自動調理コンロ / ディスポーザー |
浴室周りの設備を設置 | 浴室乾燥機 / 浴室乾燥暖房機 / 自動浴槽洗浄システム |
洗面所周りの設備を設置 | サンルーム / 衣類乾燥機 |
トイレ周りの設備を設置 | 掃除しやすいトイレ |
宅配ボックスを設置 | 宅配ボックス / 共同住宅の宅配ボックス |
家事負担を軽減する収納を設置 | キッチンの収納 / 脱衣所・洗面所の収納 / トイレの収納 |
追加工事に該当する具体例(防災関連)
【停電・断水への対策をする】
目的 | 具体例 |
---|---|
蓄電池を設置 | 配線・分電盤工事も含む |
太陽光発電を設置 | 配線・分電盤工事も含む |
V2H・EV充電設備を設置 | 配線・分電盤工事も含む |
家庭用燃料電池を設置 | 配線・分電盤工事も含む |
非常用発電設備を設置 | 配線・分電盤工事も含む |
貯水システムを設置 | 配管工事も含む |
雨水タンクを設置 | 配管工事も含む |
電気設備を移設 | 蓄電・発電設備の架台 / エアコン室外機の架台 |
【水害・台風への対策をする】
目的 | 具体例 |
---|---|
屋根瓦の飛散を防止 | 高耐力な瓦 / 飛散防止ネット / 瓦止め(接着剤・漆喰) |
窓ガラスの飛散を防止 | 安全ガラス(防災安全合わせガラス・強化ガラス・飛散防止フィルム貼りガラス・網入りガラス) / 雨戸 / 窓シャッター / ブラインド |
止水板を設置 | (特になし) |
【地震への対策をする】
※躯体に関する耐震対策は除外
目的 | 具体例 |
---|---|
感震ブレーカーを設置 | 配線・分電盤工事も含む |
家具固定器具を設置 | (特になし) |
窓ガラスの飛散を防止 | 安全ガラス(防災安全合わせガラス・強化ガラス・飛散防止フィルム貼りガラス・網入りガラス) |
具体例に載っていない工事であっても、該当する工事目的のために行う工事は幅広く対象になります。しかし、インテリア用品や家電等の簡単に持ち出せる品物の購入・搬入は工事ではないのでグリーン住宅ポイントの対象外です。
(参照:グリーン住宅ポイント資料「具体的な工事例」)
グリーン住宅ポイント対象の「グレードアップ工事」
「グレードアップ工事」とは、ポイント発行対象である工事や住宅販売をする事業者が、お客様へのグレードアップのためにおこなう工事のことを指します。
グリーン住宅ポイントに交換できるグレードアップ工事は、以下に該当するものです。
- 「新たな日常」に役立てるための追加工事
- 防災に役立てるための追加工事
1ポイント=1円相当、1,000ポイント単位での申請で、基本ルールは追加工事と同様。
グレードアップ工事は、かかりまし費用(グレードアップしなければ発生しなかった料金)がポイント交換の対象です。
グレードアップ工事に該当する具体例
- 一般的な玄関ドアをタッチレス玄関ドアにする
- 一般的なキッチンを家事負担軽減に資するキッチンにする
など
事業者との契約時には、見積もり明細などで「グレードアップに該当する部分」や「かかる費用・差額」が確認できるようにしておきます。
グレードアップ工事に該当しない具体例
- 申請カテゴリーが「新築」:省エネ性能の評価に関わる窓・断熱・設備などのグレードアップ工事
- 申請カテゴリーが「リフォーム」:ポイント発行対象の開口部・断熱改修・設備などのグレードアップ工事
ポイント発行申請の評価対象となる工事のグレードアップは対象外なので注意してください。
追加工事・グレードアップ工事と交換する手続き
グリーン住宅ポイントと追加工事・グレードアップ工事を交換するためには、各期限内に交換申請・工事完了をする必要があります。
グリーン住宅ポイントと各工事の交換期限
追加工事・グレードアップ工事への交換申請は、ポイント発行申請と同時に、おそくとも2021年10月31日 ⇒ [延長決定] 2021年11月30日(オンライン申請は2021年12月15日)までに手続きします。
※グリーン住宅ポイント制度は国の予算を使った仕組みなので、予算に達すれば早めに締め切られることもあります。
「新築住宅の建築・購入」「リフォーム」「賃貸住宅の建築」のカテゴリーでポイント発行する場合は、工事完了前に申請可能なこともあります。
ポイント交換をする方は、契約時(正式なポイント発行より前)に追加工事の料金を事業者へ払ってはいけません。
事業者は、グリーン住宅ポイント事務局からの審査後にポイント相当の金額を受け取ることができます。
追加工事・グレードアップ工事を完了させる期限
追加工事・グレードアップ工事は、一律で2022年1月15日 ⇒ 2022年5月31日までにすべての工事を完了させます。
工事完了前にポイント交換申請をした場合は、工事完了報告のあとに追加工事代金が振り込まれます。
まとめ
グリーン住宅ポイントを追加工事・グレードアップ工事に交換する際の要点について紹介してきました。
ポイント交換できるものは、「新たな日常」や防災のための工事です。
また、最終的にグリーン住宅ポイント事務局から関連事業者へ相当代金が支払われる仕組みです。
そのため、追加工事・グレードアップ工事に交換する場合は関連事業者の代理申請が必須ととなります。
工事への交換申請は1,000ポイント単位。「追加工事へ交換したものの、ポイントが余ってしまった」ということもあるでしょう。
そんな方はポイントを商品へ交換することをおすすめします。
商品への交換期限は2022年1月15日 ⇒ 2022年2月15日。追加工事よりも余裕を持って手続きができますよ。